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February 09, 2009

Michael Kenna マイケル・ケンナ 作品展

 遠く、静まりかえった水の中にはかなげに浮かぶ島、それがモンサンミッシェルだ。近づくにつれ、それは大地に根ざした巨大な岩へと変貌し、旅行者達が群がりバスや車に囲まれているさまが見て取れるようになる。

 モンサンミッシェルは、人生のようなものだ。人が思う通りの姿となって現われる。ブリタニーの境で水に囲まれ、フランスの北岸から1キロ、ノルマンディーに位置するモンサンミッシェル。地元の言い伝えによると、708年に大天使ミカエルがアヴァランシェ司教、オベールの元に現われ、かの地に聖堂を建てよ、と告げたという。お告げに従いすぐさま礼拝堂が建てられ、その後改修が重ねられ965年には僧侶達がベネディクト派を立ち上げるに至ったのだった。そしてそれ以来僧侶達が営々とモンサンミッシェルに集い続けている。

 私は幸運なことに彼らの僧院に何度か滞在する機会を得た。私にとって静寂は友のようなものだ。滞在中、誰とも話さず、何にも気をそらされることなくひとり過ごす時間は、想像力に溢れ、自分の内面を見つめる良い機会となり、とても意味あるものだった。特に夜の時間をひとりで自由に大寺院や僧院で過ごすことができたのは特権だったと言えよう。鐘楼の最も高いところまで登り外を見ると、あのガーゴイルが自分の下に見えた。明かりのない地下室や礼拝堂を静かに巡り、世の中のすべてが寝静まる頃、人気のない路地を静かに徘徊したのだった。何時間も、遠くの砂地に光が移ろうのを眺めて過ごし、流れて行く雲に影が現われたり消えたりするのに心奪われた。カメラのシャッターを長い時間開放し、人の目には捉えられない時間がそこに積み重なる間、私は目を閉じ、切れ切れの眠りに身を委ねたものだった。モンサンミッシェルで過ごした間、私は夜も昼もただ静かに歩いた。様々なものを観察し、周囲の音を聞き逃すまいとし、何かを待ち、祈り、瞑想し、そして写真を撮った。それらの経験は何ものにも代え難い。

マイケル・ケンナ

Michael Kenna マイケル・ケンナ 作品展
『 Mont St Michel モン・サン・ミッシェル 』

日時 : 2009年2月10日(火)~2009年3月14日(土)
時間:10:30-18:30(土〜17:30まで)
休廊:日・月・祝日
会場:ZEIT-FOTO SALON
住所:〒104-0031 東京都中央区京橋1-10-5 松本ビル4F


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