佐戸川 美穂 Miho Sadogawa - Illustrator -
多摩美術大学を卒業後、広告などに関わる幾つかの仕事を経て
程 亮弼とともに有限会社フリフリカンパニーを創立。
2001年よりソロプロジェクトであるErotic Dragonの名義で活動を開始。
今回、ZERO FIRST DESIGNのショップのために書き下ろされた作品に
スポットを当て、インタビューを行った。

「主役はあくまでも椅子」
ーまず始めに、今回Gaetano Pesce(ガエタノ・ペシェ)の作品のバックに描いてほしいとの依頼でしたが、作品を見た時の感想はいかがでしたか。
最初にペシェのデザインした椅子、ソファーを見たのは、2006年のミラノ・サローネだったのですが、自由な発想で、いい意味でやりたい放題なところがスゴいな、という印象でした。
ーこちらからご依頼してから、実際に描き始めるまでに、どのようなイメージを持って取り掛かりましたか。
「主役はあくまでも椅子」という事を念頭に置いてはいましたが、描き始めるまではあまり固定したイメージを頭の中に創ることはしませんでした。とにかく、自由にのびのびとやりたかったので。
ー今回、他の人の作品との組み合わせということと、インテリアショップという商業空間という場所ということに対して、何か気を付けたことや、普段の作品との違いなどはございますか。
基本的にストーリー性の強い2DCGの作品を描いていますが、何か凄く意味のある、具体的なイメージを描くのは避けようという事を考えました。絵に意味がありすぎると、よほど椅子のイメージと一致したものでない限り、椅子のデザインとけんかしてしまうからです。抽象的で、印象に残り、なおかつガエターノ・ペシェの椅子を引き立てるもの、というコンセプトが基本です。

「この大人は何をしているんだろう?」
ー今回、約一週間をかけて仕上げて頂きました。ショップの方は、通常営業でお客様に見られての作業になりましたが、そのことに対しては、いかがでしたか。
また、一人で作業する時との違い等はありましたか。
普段の製作スタイルとは、とても大きく違いますね。面白かったのはショウウィンドウの絵を制作しているときでした。ショウウィンドウの中から外の様子を眺めるということは、このような機会がないと、ないわけです。最も面白かったのはショウウィンドウの前を通っていく子供達です。一概に「この大人は何をしているんだろう?」という純粋な好奇心と、「訳のわからないものを描いているな」という訝しげな気持ちが混ざったような顔をしていきます。それが面白くて、かわいいな、と。じかに作品に対するリアクションがやってくるというのが、シンプルで気持ちがいいです。
ー入り口のソファに1枚と、ウィンドウに3枚の作品を描いて頂きましたが、それぞれの作品のイメージやコンセプトは、どんなものでしょうか。
入り口のソファの後ろの絵ですが、これはわりと間近な距離で目に入るものですから、複数の色、特に温かい感じの色を使い、テクスチャーもリッチに塗りこんだ感じを作りました。ソファの暖かいカラフルさとマッチするような色目の上に、植物のように見える装飾的な何かを淡淡と書き込んだ感じです。ショウウィンドウに関しては、とにかく細かい事をやっても無駄だという予感がしたので、大きく手を動かし一つ一つの要素を作る事を考えました。
ーウィンドウに描いて頂いたのは、キャンバスの大きさが同じで3枚並んでの作品になりますが、何か3枚のイメージの違いや、外からの見え方に対してのバランスについて、気を付けた点やこだわりはありますか。
とにかく遠くから見たときにおおらかに、それでいてモノクロのトーンが柔らかく絡み合った様子が作れるといいなと思いました。3枚で一つの連作、という感覚で3つのトーンをそろえながら描くのは、普段2DCGでモニターの中で、ほぼ一つだけのイメージを眺めつづける作業と違って、面白かったです。

ーGaetano Pesce(ガエタノ・ペシェ)の作品は、家具の中でも造形や色彩が個性的で、独自の世界観を持った作品ですが、その作品とご自分の作品をコラボレーションすることで、何か新たな発見や、創造がありましたか。
他のデザイナーやアーティストとのコラボレーションはいつでも面白いです。今回は自分の2DCGとは全く違ったメソッドを持っている事を確認できました。
ーありがとうございます。最後に、インテリアに関するWebサイトですので、インテリアについての質問をいくつかしたいと思います。
ご自分の部屋のインテリアや家具・雑貨に対して、こだわりや好みはありますか。
シックで落ち着いた空間であればいいのですが、シンプルすぎるのは面白くないし、なんとなく潤いが感じられないのがイヤですね。どこかハズれた所、崩れたところがあるのが面白いと思います。基本的に一つのトーンでまとめて、外しどころや崩しどころがある、遊んでる部分があるほうが、安心できます。びっちりと固まった感じは息苦しさを感じるので。
ー心休まる空間、好きな空間というのは、どのような空間ですか。
水と光と植物があること。特に光と植物。コレという根拠はありませんが、植物があると部屋の中の空気がきれいになるような気がするので。そういう意味では、水族館なんか大好きです。今住んでいる場所から近いところに、水族館が2つもあるのですが、製作に行き詰るとそこでサボってぼんやりすると(w
ー最後に、今後やってみたい仕事や目標、夢はどんなことですか。
もう2年近く前にソロでの絵本(「Life of Buddha」)をリリースしたわけですが、絵本など、まとまった形で作品創りが出来る書籍の仕事はもう一度やってみたいですね。気力も体力も相当に必要ですが、出来上がったときに充実感は違います。それと、他のアーティストさん達とのコラボは積極的にやってみたいと思います。またはチームワークの面白さを楽しみながら、みんなでウンウンいいながら作り出す仕事。ソロでは味わえないですから。
Interviewer : Ken Nozawa

佐戸川美穂 PROFILE
多摩美術大学を卒業後、広告などに関わる幾つかの仕事を経て程 亮弼とともに有限会社フリフリカンパニーを創立。
2001年よりソロプロジェクトであるErotic Dragonの名義で活動を開始。
アジアを中心とする世界中の芸術や文化にインスピレーションを受け日本のポップカルチャーの中で育った感性との融合により生み出される独自の表現でイラストレーションやグラフィックデザインの仕事を続けています。
音楽、ファッション、ファインアートからマンガ、アニメに至るまで多様なジャンルに興味のアンテナを張り巡らせながら、Erotic Dragonのクリエイションは一つのところにとどまらず限りなく自由に飛翔し、成長していきます。
上記の作品は、2006年4月ミラノ・サローネの時期に同時開催された、イタリアのランジェリーブランド「ラ・ペルラ」が主催した「ホテル」をテーマにしたイラストレーション「HOTEL WONDER」への出展作品。
HP:http://www.eroticdragon.com/